平成のマルコポーロ 芦原伸の「シルクロード鉄道紀」 トップに戻る

空手の先生がボディガードに

8/2(日) テヘラン

 テヘランは今回の「シルクロード・アドヴェンチャー」の行程のなかで、危険度の高い地域であった。日本を発ったのが7月15日だったが、その、直前にイランの大統領選挙があり、前任者のアフマディーネジャード氏が当選した。だが、選挙に不正があったとして、対抗馬のムサビ氏のシンパが抗議デモを繰り返し、ついには軍隊が出動して死者も出るという市街戦が繰り広げられていたのである。ムサビ派は民主派といわれ、背景にアメリカの後押しがあるといわれていた。結局は国家最高顧問のハーメイネイ師が現大統領を推して、反対派が鎮静された。テヘラン滞在はその直後のことだったのだ。

 さて、どうなることか? と内心ドキドキしていたが、駅に迎えにきてくれたガイドのアフマドさんに会ったら、いっぺんに不安は解消されてしまった。アフマドさんは身長190cm、重量級の大男で、日本語はぺらぺら。きけば日本に14年間暮らし、空手のインストラクターをやっていた、というのだ。今もテヘランで空手を教えている。

20090802_teheran.jpg
(写真 テヘラン街角のチャイハナで水たばこを試す筆者)
「もう大丈夫ですよ。街はいつもと変わりませんよ」

その一言で、緊張が一瞬にしてほぐれた。

 イランはイスラーム世界のなかでも規律のもっとも厳しい シーア派の拠点 である。飲酒は禁止されているし、写真撮影なども規制されている。市街戦の直後だし、テヘランでは行動をひかえ、終日ホテルにこもり、休日にしよう、と思っていたのだが、アフマドさんの力強い協力で、また町や駅へと繰り出した。雑踏や群衆のなかでひときわ目立つアフマドさんの存在が神の救いのように思えたのだった。