オピニオン紹介

No.142 陸山会土地取引について

2月19日号の「疑惑深まる小沢のカネ」を
興味深く読ませていただきました。
「本誌取材班」の皆様、陸山会による世田谷の土地取得に
虚偽記載と疑われる要素があったのか、
是非さらなる取材をお願いします。
また松田賢弥氏に加え渡辺乾介氏に
沖縄の土地の話などの取材をお願いします。
 
世田谷の土地について、検察はもちろん誰でも
アクセスできる公の記録である登記簿謄本から
以下の情報が読み取れます。

問題の土地の地目はもともと「畑」であり、
秘書の方の住宅用地とはなり得なかった。
しかし売主の不動産会社は宅地として分筆し、分譲していた。
小沢氏/陸山会が代金を支払ったとされる
2004年10月に「売買予約」を原因とした
所有権移転請求権仮登記がなされている。
これは地目が「畑」であるため、
世田谷区農業委員会による「宅地」への転用許可が
得られることを条件とした売買の「予約」ではないかと考えられる。
そうであれば2004年の時点で
小沢氏/陸山会はまだ土地を取得していないとも言える。
支払いは「仮払い」であり、もし許可が下りない場合は
契約を解除するか、実質的に「仮払い」を取り戻すため
仮登記により権利を保全する手続きをとったと考えられる。

その後2005年1月に正式な売買が成立したとして
所有権移転の登記がなされている。 
同年7月には地目が「宅地」へ変更され、
1棟目の建物が新築されている
(ただし登記は2棟目の建物が新築された
2007年に事後的に手続きされている)。
 
陸山会は小沢氏と別の法人格を持たないため、
上記すべてが小沢氏の名義で契約、
記録されているのは制度上、法律上他に仕様がないでしょう。
政治団体の収支報告書への記載するかどうかは
「その取引を政治目的のためと考えて
帳簿上区分経理すること」によってのみ決まります。

大久保氏、石川氏、池田氏への嫌疑の一部は
2004年10月の時点では宅地への転用許可が
得られるか不明なため売買予約した際の仮払いを
「陸山会による土地の取得」とするか、
「陸山会による仮払金の支出」とするか、
あるいは「転用許可を得て住宅建築の始まる2005年まで
陸山会へは区分しない」とするかの判断の適否についてでしょう。

私見ですが、2番目と3番目の見方はそれぞれ妥当と思います。
さらに「区分経理」においては
小沢氏と陸山会の間の貸しと借りを両建てで管理することは
現実的には不可能です。
資金の出入り(貸し借り)はすべて差し引きして残額を
管理することしかできません。
なんらかの方法により「借り残」を決めれば、
逆算して「貸し残」を決めることはできますが
そのことに意味はありません。
このため個人事業の税務帳簿や本支店会計のような
区分経理では事業主勘定、
本店勘定は差引純残高のみ表示します。 
 
大久保氏、石川氏、池田氏は時として
陸山会に区分経理する資金だけでなく、
小沢氏個人の資金についても管理していたと考えられます。
このことも嫌疑の原因となっているようです。

しかし「現物の区分管理」がなされていないから
「帳簿上の区分管理」ができないわけではありません。
監査の世界では「現物を混蔵」しながらの
「帳簿上の区分記録」も有効な内部統制として認められ得ます。
収支報告書の適否も実物の管理に直接影響されるものではなく、
「資金や資産の出入りの差引残額」が
きちんと管理されていれば正しい帳簿記録と言えるでしょう。
 
記者の皆様、土地取引と登記方法の妥当性、
報告書記載の虚偽性あるいは適正性について、
司法書士、不動産業者、会計専門家
(特に法改正により第三者として2009年分の監査をする方)、
他の政治団体会計責任者などの客観的意見を
求めて取材いただけませんでしょうか。 

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