まずは犯人の足取りを追ってみる。
発生当初は玄関とも報じられたが、捜査本部は現在、2階の浴室の小窓から犯人が侵入したと断定している。
玄関説は、隣に住む第一発見者である泰子さんの母親が、玄関の鍵は最初から開いていたのか、自分が合鍵を使って入ったのか、気が動転し、記憶していなかったことに端を発した。
一家が日常使っていた鍵は7本(5本は宮澤家玄関の鍵で、2本は泰子さんの母親宅の合鍵)だが、検証の結果、宮澤さん宅からは計7本の鍵が発見されている。
2階の浴槽から、みきおさんのものと思われる緑色の小銭入れにつけてあった鍵が2本、眼鏡ケースの中に入っていたキーホルダー付きの泰子さん所有の鍵2本が見つかり、残り3本は1階の事務所兼学習室にあった。
1本はにいなちゃんのランドセルにぶら下がっており、2本は本棚の上に置いてあった。
本棚の上の鍵は泰子さんの母親が31日朝、玄関から家に入った時、持ち込んだものと判明し、鍵はすべて外部から持ち込まれたものではなく、家にあったものとされた。
玄関ドアのノブ付近から犯人の指紋は検出されず、ルミノール試験による血痕検査の結果も陰性だったため、玄関説は消え、侵入口と逃走口はいずれも2階の浴室の窓と推定された。
第一発見者の泰子さんの母親によると、浴室の小窓は発覚時、開けっ放しだったが、「いったん窓を閉めたが、また開けた」という。
「小窓の網戸が外れて落下していたこと。窓辺に飾っていた山茶花の鉢も落ちていたこと。脱出時、犯人が2階から飛び降りた時に付着したと思われる犯人の足跡が公園の地面に残っていたことから、浴室の小窓が侵入出口と断定された」(捜査員)
プロファイリングで犯人の年齢は▼当時15〜35歳の1965〜85年生まれとされ、▼体形は細身と分析された。
その根拠は、犯人が宮澤邸とすぐ裏手にある公園の狭間にあるフェンスの金網に片足を、もう片足を風呂ボイラーに置き、2階の風呂場の小窓の縁に手をかけ、懸垂しながら体を小窓に滑り込ませて侵入するという軽業を見事にやってのけたからだ。
「犯人と体格が似た細身の学生に風呂場の小窓に上らせたら、数秒で中に入った。俺ら親父にはキツいが、運動神経のいい若者なら難はない」(警視庁捜査一課元幹部)
2階の小窓から室内へ降り立った犯人は、奥の子供部屋へと進み、ベッドで寝ていた礼君を真っ先に殺害したという説が今では有力だ。
礼君が一番に殺害されたという説の根拠は、ベッドの周囲に血痕が付着していなかったことにある。
犯人は、みきおさん、泰子さん、にいなちゃんを殺害した際、大量の返り血を浴び、自らも右手にけがをした。
すでに殺害を実行した後、犯人が礼君を扼殺したのであれば、どこかに血痕が必ず残ったはずである。
犯人は礼君を殺害後、居間へ移動し、ヒップバッグから柳刃包丁「関孫六」を取り出し、みきおさん、泰子さん、にいなちゃんの順に殺害したとみられている。
鑑定資料によると、犯人は4人を殺害後、2階の廊下先にある台所へ行き、流し台の上に凶器である先端が欠けた関孫六の柳刃包丁と刃体がぐにゃりと曲がった洋包丁を置いたとされる。
それぞれの刃の部分に犯人のものであるA型の血液が付着し、流し台の上と流し台下の収納庫にも犯人の血が付着していた。
ちなみに宮澤さん一家にA型の人はおらず、みきおさんと礼君はB型、泰子さんとにいなちゃんはO型だ。
流し台の上、廊下のトイレ前の床上には「ドラッカーノワール」の香りと血のにおいを漂わせた黒い2枚のハンカチが落ちていた。
犯人の遺留品であるハンカチは45×45センチの綿製、黒色無地で、いずれも無印良品のものだ。
新品ではなく、洗濯されたもので、一枚は三角形に折ってあり、もう一枚はぐちゃぐちゃに巻き込んだ形になっていた。























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