本誌人気コラムが「談」に登場!ブログ時評、Asablo(アサブロ)。評論家・滝田誠一郎が話題のブログ&ツイッターを総まくり トップに戻る

ブロガーWho's Who

最終回 アルファブロガーで充実したブログライフを

「アルファブロガー」(alpha blogger)という言葉を聞いたことがあるだろうか? 直訳すると第一級のブロガーという意味になるが、実際には"影響力のあるブロガー"という意味で使われる。元々はアメリカで生まれた言葉だが、アメリカでは定着せず、"alpha blogger"といってもアメリカ人には通じないということを聞いたことがある。その意味では日本だけで通用する和製英語のようなものだといってもいいかもしれない。

 影響力のあるブロガーである以上、彼らが書いているブログに多くの人がアクセスすることはいうまでもないが、PV(ページビュー)数やUU(ユニークユーザー)数が多いブログを書いている人が即ちアルファブロガーかというと、そうではない。PV数やUU数の多い人気ブロガー=アルファブロガーではないのだ。それぞれの分野で他の追随を許さぬような尖った存在、一般の人の理解を超えた孤高の存在......アルファブロガーにはそんなイメージがある。実際のところ、アルファブロガーと呼ばれるのはそういう人たちだ。

 アルファブロガーを日本で唯一認定している団体がある。2004年以来、毎年アルファブロガー・アワードを開催、発表しているアルファブロガー運営委員会がそれだ。04年の第1回アルファブロガー・アワードに選ばれたのは、わずかに19人。以後、毎年20人弱のブロガーがアルファブロガーに選ばれ、これまでに同委員会によってアルファブロガーに認定されたブロガーは計90人弱。日本のブロガー人口が昨年1月時点で2700万人弱(総務省調べ)だから、アルファブロガーがいかに尖った存在、孤高の存在であるかがわかるというもの。

 アルファブロガーの中には堀江貴文・元ライブドア社長、タレントの中川翔子さん、元マイクロソフト日本法人会長の古川享さん(慶應義塾大学教授)ら有名人も含まれているが、そのほとんどは知る人ぞ知るネットの有名人で、一般的にはほとんど知られていない人たちだ。たとえば──。

「切込隊長BLOG(ブログ)」山本一郎さん (評)経済ネタや政治ネタ、野球から私生活まで幅広い分野のネタを扱い、そのどれもがとても鋭く、同時に魅力的な論考に仕上がっている。

「百式」田口元さん (評)1日1社、海外のドットコムサイトの"発想"を紹介している人気サイト。蓄積された発想のバリエーションと、安定した質の高い情報提供は他の追随を許さない。

「[N]ネタフル」コグレマサトさん (評)幅広いニュースをネタとして提供しているブログ。毎日のように大量の記事が投稿されて、その切り口と扱うネタの幅広さは既存のニュースサイトを置き換えてしまいそう。

「Ad Innovator」織田浩一さん (評)広告の近未来をアメリカの最新動向を元に解説しているブログ。広告に関する欧米の最新事情のニュースは、ここを見ておけば一通り把握することができる。
 アルファブロガーは特定の分野に特化した記事を独特の切り口で書いている人たちなので、その内容は決して万人受けするものではない。なので自分なりの興味関心、感性にあったアルファブロガーを見つけることが大事。そんなアルファブロガーを何人か見つけることができれば、あなたのブログライフはぐっと充実したものになるというものだ。

アルファブロガー・アワード(上)と「[N]ネタフル」(下)のトップページ

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第63回 ツイッターを使うなら勝間式で!(後編)

 経済評論家・勝間和代さんはツイッター普及の立役者の一人だ。ツイッターに精通した勝間さんと、ツイッターのことは何も知らない歌手・広瀬香美さんとの掛け合い漫才風のツイート合戦が昨年夏以降ツイッター上で人気になり、ネットの話題になり、多くのマスコミで取り上げられ、ツイッター人気の起爆剤になった。ところが2人がツイッターをはじめた時期に着目すると面白いことに気がつく。広瀬さんがツイッターをはじめたのは09年7月19日。勝間さんが本格的にツイッターをはじめたのは7月17日。わずか2日しか違わないのだ。

「ツイッターのアカウントを取得したのは昨年2月頃。ツイッターの仕組みとかやり方とかを何も調べずにとりあえずつぶやいてみたのですが、シ~ンとしたままで何の反応もない。これは何じゃらほいと。そのまま放置してました」

 その勝間さんがツイッターに目覚めるのが7月のこと。仕事で訪れたアメリカでの見聞がきっかけだった。「アメリカへ行ったらツイッターがすごく流行っているとみんないうわけです。オバマが大統領選の時に使ったとか、有名なスポーツ選手が休憩時間につぶやいているとか。なるほどそういう使い方をするものなのかということがわかったので、本気でやってみようと思ったんです」

 興味を持ったことは集中して徹底的に探求するのが勝間流。持ち前のITリテラシーの高さもあって、アッという間にツイッターの様々な機能を使いこなすようになる。以来、情報の発信・収集ツールとして、勝間さんはツイッターを精力的に活用している。11月22日現在で1万7460ツイート、フォローしている人数2万3207人、フォローされている人数43万9239人という数字がそれを物語っている。昨年7月から今年11月までの間に1万7460回ツイートしたということは、1日平均35回ツイートした計算になる。「私にしてみれば、これくらいは普通」と勝間さんはいうが、かなりのツイート魔だ。44万人弱のフォロワー(登録読者)というのもすごい数字だが、勝間さんの人気を考えれば、これは納得できる。驚くのは勝間さん自身が2万人を超す多くの人をフォローしていることだ。

「フォローしている人が2万人いると、10%がオンラインだとしても常に2000人の声をサッと俯瞰することができます。世の中の出来事や動向を知ることができる。フォローしている人が2000人だとそうはいかないし、逆に10万人に増やしても大差がないと思うので2万人くらいかな、と」

 勝間さんは最近Facebookに凝っている。例によって集中して徹底的に探求中だ。その勝間さんにブログ、ツイッター、SNS(Facebookなど)の中でお薦めのネット・コミュニケーション・ツールはどれか聞いてみた。「IT談議はとかくT(テクノロジー)のほうに偏りがちですが、大事なのはTよりもI(インフォメーション)。本人がどういう情報の発信、受信をしたいのかを考えて、一番効率的でコストのかからないプラットホームを選べばいいんです。これからはじめるのであれば、友人や好きな有名人が使っているツールを選ぶのがいいですね。それが一番面白いですから」

勝間さんのツイッターのトップページ

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たきた・せいいちろう 1955年生まれ。ノンフィクション作家/ブログ評論家。
著書に『65歳定年時代に伸びる会社』『ビッグコミック創刊物語』
『長靴を履いた開高健』など。
ブログ「わたし、ブログ評論家です。」http://ameblo.jp/blog-hyoron
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第62回 カツマー式ブログ活用術(前編)

 経済評論家・勝間和代さんの話を聞いていて、「デジタルネイティブ」という単語が頭に浮かんだ。生まれたときからインターネットやパソコンのある生活環境で育った世代を指す言葉である。もちろん1968年生まれの勝間さんはデジタルネイティブ世代ではないが、コンピューターとの出会いは驚くほど早い。

「自分用のコンピューターを初めて買ってもらったのは13歳のとき。まだマイコンといわれていた時代です。それから2年に1回くらいずつ買い換えてもらってました。コンピューターオタク? いえ、私はコンピューターそのものに興味があるんじゃなくて、コンピューターがやってくれることに興味があるんですよ。非常に実用的ですから」

 80年代半ばにニフティサーブやPC-VANがパソコン通信サービスを開始すると、当たり前のようにそれらを使いこなすようになる。

「大学に入ったとき(慶應義塾大学商学部、87年入学)にはすでにパソコン通信が存在していたので、じゃあつないでみようかと。1200ボー(=1200bps)の低速モデムでつないでメールをしたり、チャット(会話)したり、オフ会をしたり。アメリカのパソコン通信サービスに接続してボーッと使っていたら、月に5万円の通信料を請求されて死ぬかと思ったこともある」

 ブログをはじめたのも早い。日本でブログサービスがはじまるのは2003年12月のこと。12月2日にニフティのココログ、19日にライブドアのライブドアブログがサービスを開始している。勝間さんがココログのサービスを使ってブログを開始するのは翌04年4月のこと。「日々の生活から起きていることを観察しよう!!」がそれだ。

「日記を中心にしたブログもどきみたいなサイトは99年から立ち上げてましたし、02年には専用のソフトを使ってブログも手作りしてました。手作りの大変さを知ってましたから、ブログサービスが登場したときはいろいろなことが簡単にできることに非常に感動しましたね。こんなに簡単ならば、みんながブログを書く時代が来るだろうと感じました」

 ブログ「日々の生活から起きていることを観察しよう!!」は、日々、生活の中で起きていることを観察することで、メディアに頼ることなく時流の一歩先を読むことを目的にしたブログ。勝間さん自身はこのブログを〝長文ブログ〟と呼ぶ。1回1回の記事がかなりの長文になっているからだ。たとえば10月20日付のフェイスブックに関する記事は3000字近い。11月4日付のハイチ訪問記もほぼ同じボリュームになっている。

 これとは別に「私的なことがらを記録しよう!!」(05年2月~)というブログも書き続けている。3人の娘さんのことや日常の仕事の話などを中心に、ちょっとした面白いことをメモ代わりに書いているブログだ。

「07年に独立したとき、私のことを応援してくれたのがブログの読者たちでした。当時、ブログの固定読者は数百人だったと思いますが、その方々が私が書いた本を自分のブログで宣伝するなどして応援してくれたのです」

 ブログは著述家・勝間和代の原点、起点ともいえるわけである。

カツマーこと勝間和代さん「私的なことがらを記録しよう!!」
kazuyomugi.cocolog-nifty.com/

 

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たきた・せいいちろう 1955年生まれ。ノンフィクション作家/ブログ評論家。
著書に『65歳定年時代に伸びる会社』『ビッグコミック創刊物語』
『長靴を履いた開高健』など。
ブログ「わたし、ブログ評論家です。」http://ameblo.jp/blog-hyoron

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第59回 一家離散、施設で育って...実話ブログ

  ブログ「ぬるく愛を語れ!」の主人公・さりの半生は波瀾万丈に富んでいる。1歳から9歳までは児童養護施設で過ごした。小学校4年のときにバラバラに暮らしていた家族が集まり、"家族ごっこ"がはじまる。が、それも束の間、小学校5年のときに再び一家は離散。さりは両親と離れて父方の実家に預けられ、いつも不機嫌な伯母と意地悪ないとこたちと暮らすことになる。そんな居候生活も1年と続かず、さりはやもめ暮らしの父の元へと送られる。自堕落な父親、訳ありの愛人......ここにもさりの居場所はなかった。そして13歳のとき、今度は母親に引き取られ、新たな生活がはじまることになる──。

 まるでTVドラマ(それも韓ドラ)か少女漫画にありそうな話だが、すべては実話に基づくノンフィクションである。主人公のさりは「ぬるく愛を語れ!」を描き続けているりさりさん(30代女性)自身。りさりさんの実体験を赤裸々に綴った私小説的ブログなのである。

 自らの半生を振り返り、記憶を掘り起こす作業はときに大きな苦痛を伴う。話がどんどん重くなり、その重さに耐えられずに「だれか止めて~」とブログ上で悲鳴を上げることもある。それでも漫画を描き続けるのは、1人でも多くの人に知って欲しいことがあるからだ。

「施設育ちというと"反社会的、愛情不足の問題児、親への恨み"など一般的にステレオタイプな印象から偏見を持つ方が多いと思います。私の母でさえそうでした。それもあって母との関係には随分悩みました」

「知らないことに関して人は想像上のモンスターを産みやすいと思います。でも、実際はごくごく普通の子供たちなんです。ただ、大人の愛情を引き出す術を知らない不器用な子供たちなので、誤解されがちなだけで」

「そんな子供たちの気持ちに、私を通して触れて欲しいと思っています。全体の代弁者というわけではなく、私を入り口にしてもらえればと」

「子供と暮らすことを望みながら叶えられなかった母を描くことで、家族と共に暮らせる何気ない日々が実はとても幸せなんだということを改めて考えてもらえればとも思っています」

「誰かのためといいながら、自分の存在意義を求めているだけの自己満足なのかもしれませんが──」

「ぬるく愛を語れ!」は人気のあるブログだが、読者が多い割には寄せられるコメントが少ない。内容が重いため、軽々にコメントを書き込むことができないのだろう。

「私のブログは内容が繊細なので、読者の共感をもっとも得にくいブログだと思っています。でも、私が語るよりも多くのことを読み取り、受け止めて、コメントをしてくれる人もいます。その意味では読者の反応は私の期待以上です。コメントを通してセラピーを受けているような気持ちになることもあります。私のブログは、そんな読者の皆さんのコメントも含めて一つの作品になっていると思います」

 

「ぬるく愛を語れ!~webマンガに挑戦!~」
http://ameblo.jp/sweetcocoamilk/

 

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たきた・せいいちろう 1955年生まれ。ノンフィクション作家/ブログ評論家。
著書に『65歳定年時代に伸びる会社』『ビッグコミック創刊物語』『長靴を履いた開高健』など。
■ブログ「わたし、ブログ評論家です。」

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第58回 可能性感じる"エロ歌人"

■外に出すのが愛なのか中で出すのが愛なのか迷って出した
■それなりに心苦しい 君からの電話をとらず変える体位は

 歌人、ブログ歌人、ときにエロ歌人を名乗る佐々木あららさん(36歳)の代表作だ。

 ブログ歌人という肩書は、あららさんの歌人としての出自を物語っている。まったく興味のなかった短歌をあららさんが作りはじめるのは2004年のこと。歌人・枡野浩一さんが主宰していた短歌投稿ブログ「枡野浩一のかんたん短歌blog」への投稿がきっかけだった。「03年に自分のブログを立ち上げたのですが、そのブログのアクセス数を増やしたくて短歌を投稿しはじめた。短歌が採用されると枡野さんがリンクを張ってくれるので」

 03~04年当時、あららさんは体調を崩して仕事(東京大学先端科学技術研究センター特任研究員)を休職し、半ば引きこもりのような生活を送っていた。結局そのまま退職することになり、ほぼ同時に離婚も経験する。公私にわたるダメージから立ち直るためのリハビリを兼ねてはじめたのがブログであり、ブログのアクセス数を増やす一つの手段としてはじめたのが短歌だったというわけだ。
「小さい頃から文章を書くのが好きだったこともあって、短歌を作りはじめたら新たな文章の創作活動が面白くて夢中になった。すぐに作った短歌を自分のブログで発表するようになり、冗談半分で日本でただ1人のブログ歌人を名乗るようになった」

 エロ歌人という肩書?は、あららさんの作品の一つの方向性を示している。「短歌を作りはじめた頃、なぜか性愛をテーマにした歌の評判が高かった。あっけらかんとセックスを歌う男の歌人はほとんどいないので、そっちの方向でやってみたらどうだと枡野さんにアドバイスされたりして、僕自身そういうのは嫌いじゃないし、ポンポン作れちゃうので、なんとなくそっちの方向に進んでしまったという感じですね。それ以外の短歌も多いんですが、基本的には女にだらしがない駄目な男というキャラクターで、それが僕の実態なのかどうかわかりませんが、そういう目線で歌を作っていきたいなとは思っています」

 あららさんには"犬猿"の制作者、〝星野しずる〟の生みの親という肩書もある。犬猿とは、あららさんが一晩で作り上げた短歌の自動生成プログラム。これを使うとコンピューターが無関係な言葉を組み合わせて斬新なイメージの短歌を勝手にどんどん作り続ける。コンピューターが作った犬猿短歌の作者、それがあららさんが生みだしたヴァーチャル歌人、星野しずるだ。
「異なる二つの言葉を組み合わせて詩的飛躍のある作品を作る手法を二物衝撃といいます。僕はこの手法に頼って雰囲気だけで作られているような短歌には批判的なんです。そんなものは辞書をパラパラめくって単語を適当に組み合わせれば作れる。人間のクリエイティビティーはもっと違う方向につぎ込んで欲しいという僕なりの批判であり、メッセージを込めて作ったのが犬猿です」

 ブログと短歌。これもまた二物衝撃といっていい組み合わせだ。この組み合わせから新たな短歌が生まれる可能性を感じる。

 ■佐々木あららさん

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■「中で出すのが愛なのか」
http://ararara.exblog.jp/

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たきた・せいいちろう 1955年生まれ。ノンフィクション作家/ブログ評論家。
著書に『65歳定年時代に伸びる会社』『ビッグコミック創刊物語』『長靴を履いた開高健』など。
■ブログ「わたし、ブログ評論家です。」
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第54回 1日約22万人が読む「あの女」

  人気ブログ「あの女」を書き続けているゴマブッ子さん(男性)が、インタビュー当日に持ってきてくれた直近1カ月のアクセス数一覧を見て唖然とした。月間の総アクセス数(PV/ページビュー)が2307万5826件にも達しているからだ。内訳はパソコンからのアクセス数が約208万件、携帯からのアクセス数が約2100万件。アクセス者数(UU/ユニークユーザー数)は64万452人。これはパソコンからのアクセス者だけの数字。PV数から想像すると、携帯からのアクセス者数はざっと600万人ほどになる計算だ。

 パソコンで「あの女」を読んでいる人が1日平均約2万人、携帯で読んでいる人が約20万人、合計のPV数が1日平均約77万に達すると書いたほうが、同ブログの人気のすさまじさを、より実感しやすいかもしれない。

 人気に目をつけた出版社から声がかかり、これまでに2冊の本──『あの女』(07年8月、青山出版社)、『女のしくじり』(09年12月、ヴィレッジブックス)──が出版されている。1冊目は初版ほぼ完売、2冊目は現在7刷目で累計3万部近い売れ行きだというから成績は上々。2冊目の『女のしくじり』は読者からの反響も大きく、それがきっかけになってブログの内容が大きく変わった。

「それまでは身の回りにいる変な女、面白い女をネタにしたギャグっぽい文章を書いてました。ところが『女のしくじり』が出版されてからぽつぽつとお悩み相談のメールが送られてくるようになり、それに答えているうちに今のQ&A形式になったんです」

 送られてくる悩み相談メールは1日に30~40通にもなる。圧倒的に多いのは20代の女性からの相談だが、10代半ばの少女や40代、50代の熟女からの相談もときおり混ざる。そのすべてに目を通して2~3通を選び、ブログで取り上げていいかどうかを本人に確認した上で回答を書き、ブログにアップする。毎日2時間近くかけてその作業を繰り返している。相談内容のほとんどは、恋愛がらみの男女間のいさかい、いざこざ、あれやこれや。「未婚の女性の場合は、付き合っている彼とのことがほとんどですね。なかなか関係が進展しないとか、彼の気持ちが分からないとか、喧嘩したとか。既婚の女性の場合は、夫の浮気や自分の不倫とか。なかにはかなり深刻な相談もありますが、相談者を必要以上に追いつめたり傷つけたりしないよう、またブログを読んだ人が気分を悪くしないようにということを考えて回答を書いています」

 ちなみに〝ゴマブッ子〟というニックネームは「あの女」を書きはじめた頃に好きだった歌手の後藤真希(愛称ゴマキ)と俳優の妻夫木聡(愛称ブッキー)の名前に由来する。ブログのプロフィール欄には〝綺麗売りに大失敗したモテないゲイ日本代表〟とある。ゲイにとっては一人称が〈あたし〉、二人称が〈あんた〉、そして三人称が〈あの女〉なのだそうであって、ブログのタイトルはこのゲイ言葉から来ている。「ゲイだということは周囲にカミングアウトしていないので、だからブログを書いていることも誰にもいってません」──ということで今回顔写真が出せないのだが、実物のゴマブッ子さんはイラストよりもずっと素敵だということを一言付け加えておく。

 

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「あの女」

http://ameblo.jp/ano-onna/

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ゴマブッ子さんの似顔絵

画=小迎裕美子さん 

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たきた・せいいちろう 1955年生まれ。ノンフィクション作家/ブログ評論家。
著書に『65歳定年時代に伸びる会社』『ビッグコミック創刊物語』『長靴を履いた開高健』など。
■ブログ「わたし、ブログ評論家です。」
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第50回 飼い主をメロメロにする猫

 今回のゲストは猫のうに君(♂05年4月19日生まれ)。アメリカンショートヘアとチンチラのハーフで、写真を見ればわかるとおり、かなりのイケメン猫だ。飼い主のうにまむさんによれば手触りはモフモフ、プニプニしていて最高に気持ちよく、性格はいつもテンション高めで、やんちゃでいたずら好きだという。そんなうに君が大好きで、うにまむさんはもうメロメロ。
 
 うに君にメロメロになっているのは、うにまむさんだけではない。実はうに君、多くのファンを持つ有名猫なのである。うに君を主人公にしたブログ「うにの秘密基地」のランキングがその人気を物語っている。会員数1000万人超を数えるアメーバブログの7月の月間総合ランキングで18位、同じアメーバの猫ブログランキングでは1位(1万8102人参加。8月22日付)、46万4233人(同日付)が参加しているにほんブログ村の総合ランキング1位(猫ブログランキングももちろん1位)といった具合。多くのファンに支持されていればこそのランキング結果である。


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■猫としては初登場のうに君

 ブログの人気に目をつけた出版社から声がかかり、08年に『うにの秘密基地』、09年には『うにの秘密基地 ママとの暮らし編』が出版されている。今年10月には3冊目の写真集が出版される予定だ。写真集のみならず「うにの秘密基地」というDVDも発売中。また09年、10年と2年続けて「うにの秘密基地」カレンダーも販売されている。テレビ「笑っていいとも!」でうに君の動画が紹介されたこともあるという。引っ張りだこの大人気なのだ。

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■「うにの秘密基地」

 うに君の成長記録を残そうと思ってブログをはじめた頃、うにまむさんはまさかうに君がこんな人気者になるとは思ってもいなかった。それどころか他人が飼っている猫の成長記録なんて誰も読まないだろうと思っていたので、ブログをはじめたことは家族にも友人にも秘密にしていた。秘密基地というタイトルをつけたのはそういう意味もあってのこと。ところが開始早々からジワジワと人気が出はじめ、右肩上がりでグングン人気が上がり続け、やがて人気に火がつく。今現在の1日のページビューは平均して13万~14万PV、1カ月では420万PVに達する。1人平均10PVとして毎日1万数千人が、平均5PVとすれば毎日2万数千人もの人が「うにの秘密基地」を見ている計算になる。
 
 人気の秘密がうに君のかわいらしさにあることはいうまでもないが、そう公言するのは親バカを自認するうにまむさんでもはばかられるようで、「どうして人気があるのか正直よくわからない」とはぐらかすように笑う。「うにの日常の姿をそのまま撮った写真を見て、猫を飼っている人は〝そうそう、うちの子も同じ〟と共感してくれたり、猫を飼っていない人は自分も猫と一緒に生活しているような気になれるのかもしれない」(うにまむさん)
 
 ちなみに、うにまむさん同様、ペットの名前にママ/マムをつけてネット上のハンドルネーム(ニックネーム)にしている女性がたくさんいる。私の知り合いにもムーという猫を飼っているムーママさんとか、クンタという犬を飼っていたクンタママさんなどがいる。男性がムーパパとかクンタパパというハンドルネームを使っているケースは記憶にないので、これは女性特有の傾向、ペットを我が子のようにかわいがる母性の表れといえそうだ。

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たきた・せいいちろう 1955年生まれ。ノンフィクション作家/ブログ評論家。
著書に『65歳定年時代に伸びる会社』『ビッグコミック創刊物語』『長靴を履いた開高健』など。
■ブログ「わたし、ブログ評論家です。」
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第46回 ビジネスになるブログ術を学べ!(後編)

 gooブログ(運営会社:NTTレゾナント)で1位、2位を争う人気ブログだった「池田信夫blog」は、2009年11月末、ライブドアに引き抜かれる形で同社が運営するライブドアブログへと、その舞台を移す。これを境に池田信夫さん(1953年生まれ/経済学者)にとってブログは「半ば仕事」になる。
「僕のブログに貼り付けてあるバナー広告などの収入はすべてライブドアにあげて、その代わりにライブドアとの間で年間契約を結んで一定の収入が入ってくるようにした。考えようによっては僕はライブドアの契約社員みたいなものですよ。そういう立場でブログを書いている。だから、僕のブログは趣味やボランティアで書いているわけではなくて、半分は仕事で書いているようなもの。それだけで食っていけるほどのお金はもらっていないけど、原稿料としては活字媒体に書くよりもいいくらい」

 池田さんが編集長を務めるオピニオンサイト「アゴラ」も同様の年間契約をライブドアと結んでいる。ひとつのブログを複数のメンバーで運営できるグループブログ機能を利用した「アゴラ」は、年間契約料の中から原稿料を捻出して各分野の専門家に原稿を依頼し、マスメディアでは書けない話題を記事にしたり、マスメディアよりハイレベルな記事を揃えて人気を博している。
「最初は投稿だけでやってみたんだけど、さすがに投稿だけでは記事が揃わない。みんな気が向いたときにしか投稿してくれないから。それではメディアとしては辛いので、ライブドアと契約をし、契約料から原稿料を捻出するビジネスモデルを採り入れた。収支はトントンといったところ」

ブログ運営会社と年間契約を結ぶというビジネスモデルを採り入れたのは、「アゴラ」を既存のマスメディアを凌駕するようなメディアに育てたいという思いがあればこそ。

 アメリカには既存のメディアを凌駕するようなブログメディアが存在する。たとえば〝インターネット新聞〟を標榜する「ハフィントン・ポスト」、内外の面白ネタを紹介して大人気の「Boing Boing」、IT関連のニュースブログ「テッククランチ」などは「影響力の大きさにおいても、クオリティーの高さにおいても既存のマスメディアに近づいている」と池田さんは評す。
「ところが日本にはきわめて個人的な日記のようなブログや趣味のブログしかない。それではまずいだろうと。『ハフィントン・ポスト』まではいかなくとも、それに近いメディアを作りたいという思いではじめたのが『アゴラ』なんです」

 マスメディアとソーシャルメディアが共存し、互いに補完し合う関係ができあがってこそ、健全な言論が発達するというのが池田さんの持論だ。
「ソーシャルメディアが台頭してくるとマスメディアがぜんぶダメになるみたいな論調があるけど、そんなことはない。ただし今のマスメディアは表現の幅がものすごく狭くなっていて、これでは多様な言論を生かすことができない。その点、ブログをはじめとするソーシャルメディアは自由に表現できるので、多様な言論を活発に戦わすことができる。だから両方が共存し、補完し合うことが大事」

 

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■「アゴラ」
http://agora-web.jp

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たきた・せいいちろう 1955年生まれ。ノンフィクション作家/ブログ評論家。
著書に『65歳定年時代に伸びる会社』『ビッグコミック創刊物語』『長靴を履いた開高健』など。
■ブログ「わたし、ブログ評論家です。」
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第45回 アルファブロガーの人気の秘密(前編)

「池田信夫」の4文字を見て、すぐにピン!と来る人が週刊朝日の読者の中に果たしてどれだけいるだろうか? 意外に少ないのではないだろうか。

1953年生まれ。78年、東大経済学部を卒業してNHK入局。93年、NHK退職。国際大学GLOCOM助教授、同教授を経て、01年に独立行政法人経済産業研究所上席研究員。現・上武大学大学院経営管理研究科教授、SBI大学院大学客員教授。電子出版を手がけるアゴラブックスの代表取締役も務める。活字の世界では「池田信夫」はこのような経歴、肩書の持ち主として説明されることになるが、ネットの世界における「池田信夫」の説明はまったく異なる。大人気の「池田信夫blog」で知られるアルファブロガーであり、〝言論プラットフォーム〟を標榜するオピニオンサイト「アゴラ」の編集長であり、そしてツイッターにおいては[ikedanob]のアカウントで精力的につぶやいている経済学者──それがネットにおける「池田信夫」だ。

アルファブロガーとはネット世論の形成に強い影響力を持つ一握りのブロガーを指す和製英語。そのアルファブロガーの中でも池田さんは一目置かれている存在だ。ネットの世界では超有名人なのだ。主に政治、経済、IT絡みの記事を書いている「池田信夫blog」の読者は1日平均2万人、月間のページビュー(PV)は150万に達する。編集長を務める「アゴラ」の読者は1日約1万人、月間PVは約100万。ツイッターのフォロワー(=登録読者)数は7月19日現在で5万4303人を数える。

「僕自身、何でこんなにアクセスがあるのかわからない。別にわかりやすく親しみやすく面白く書いているわけじゃないし、どちらかといえばぶっきらぼうで、わからないヤツはわかんなくていいよという書き方なので。あえていうならば消去法だと思いますね。他に読むに値するブログがないから、情報として価値のあるブログがないから、その裏返しで僕のブログが読まれているということなのでしょう。僕自身、日本語で書かれたブログで定期購読しているものは一つもないですから」(池田さん)

なぜ読むに値する日本語のブログがないのか、そもそも池田さんにとって読む価値があるブログとはどのようなものなのだろうか。「政治、経済、社会、IT関係のニュースサイトを海外のものも含めて15くらい定期購読してる。ニュースサイトを読めば、その日の出来事とかそれに対する論評とかはわかる。なのでニュースサイトでは書けないこと、ニュースサイトではおよばない高いレベルのことを書いてあるのが僕にとっては読む価値のあるブログ。海外にはそういうブログが結構あるのに、残念ながら日本には存在しない。

なぜないのか。一言でいえば日本のブログは圧倒的に匿名のブログが多いから。誰が書いているのかわからない匿名のブログなんて情報源としてぜんぜん価値がないし、そもそもレベルが低い。僕自身はずっと実名でブログを書いているので、それがアクセス数につながっているのかもしれない」

(後編に続く)


池田信夫.jpg

■「池田信夫blog part2」
http://ikedanobuo.livedoor.biz/

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たきた・せいいちろう 1955年生まれ。ノンフィクション作家/ブログ評論家。
著書に『65歳定年時代に伸びる会社』『ビッグコミック創刊物語』『長靴を履いた開高健』など。
■ブログ「わたし、ブログ評論家です。」
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第41回 リストラ劇を克明に書いた「リストラなう」

経営不振に喘いでいる会社が窮余の策としてリストラを断行し、
その一環として希望退職の募集に乗り出す。
いまどき珍しい話ではないが、
もし自分がそのような目に遭ったらあなたならばどうする!?
 
たぬきちさん(仮名・45歳)が勤務していた会社
(売り上げ規模で業界10位前後に位置する準大手の出版社)が
希望退職の募集をはじめたのは今年3月中旬。
募集条件は以下の通り。
 
対象
①勤続15年以上で満50歳以上の全社員、
②編集部門以外の部門に勤務する
満40歳以上49歳以下の社員(勤続15年以上)、
募集人員は50人(対象者120人)、
募集期間は4月5~13日、退職日は5月31日。
 
「希望退職の募集がはじまっても自分には関係のない話だと思っていた。
それが、親しかった同僚が辞めるつもりだとわかったら、
とたんにリストラが身近なものに感じられて、
〝オレが辞めたらどうなるんだろう〟と考えてみた。
家族はいないし、家は賃貸だから住宅ローンもなくて身軽だし、
かなりの退職金がもらえるから辞めても何とかなりそうだ、と。
45歳という年齢もぎりぎりセーフと思えたし。
そう考えたら会社に残るよりも、会社を辞めるという選択肢のほうが
楽しそうに思えてきて、それで決めちゃった。
辞めて何をするというあてはなかったけど、
辞めると決めたら気分がすごくハイになった」
 
45歳で迎えた人生の転機。あてはないが何かできそうだという期待感と、
新たな人生に挑戦するという高揚感。
それがたぬきちさんが〝ハイ〟と表現する心理状態の正体だろう。
そんなハイな気分を胸の内にしまっておくことができなかったのか、
たぬきちさんはそれまで身辺雑記を綴っていた
ブログ「どんじりのブログ、たぬきち日記」のタイトルを
「たぬきちの『リストラなう』日記」に改め、
自らのリストラ劇を同時進行形で書きはじめる。
 
これが直後から大人気になる。
09年1月にはじめた「どんじりのブログ、たぬきち日記」は
10年3月末までの15カ月合計で1万PV(ページビュー)にすぎなかったが、
「リストラなう」は開始早々に1日1万~2万PVを記録し、
多いときには7万~8万PVに達することもあった。
開始3日目には早くも出版の話が舞い込んできた。
「多くの人に読まれるのは気持ちがいいですね」
と笑うたぬきちさんは「リストラなう」の人気の秘密を次のように分析する。
 
「8割方は『リストラなう』というタイトルの勝利だと思いますね。
自分も編集者時代にタイトルにはずいぶん頭を悩ませましたけど、
こんないいタイトルは思いついたことがなかった(笑)。
内容に関していえば、不況に喘ぐ出版業界が抱える問題点や出版社の実状を、
内部の人間があからさまに書いたことが受けたのかもしれません。
それと僕自身は社名はいっさい出さないようにしたのですが、
それが逆に〝どの出版社なんだろう〟という興味をそそったのかもしれない」
 
5月末日に出版社を退職したたぬきちさんの進路はまだ決まっていない。
当面はハローワーク通いを続け、その一方で公共職業訓練制度を使って
ウェブ系のスクリプト言語の勉強をするつもりだ。
ブログに寄せられた多くのコメントもあわせて収録した単行本『リストラなう!』(仮題)は
7月末に新潮社から出版される予定だ。
本の売れ行きしだいで進路が変わるかもしれない。
 
リストラなう.jpg

野良犬ダイアリー.jpg
リストラまでを綴った「たぬきちの『リストラなう』日記」(上)と、
リストラ後を綴った「たぬきちの野良犬ダイアリー」(下)


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たきた・せいいちろう 1955年生まれ。ノンフィクション作家/ブログ評論家。
著書に『65歳定年時代に伸びる会社』『ビッグコミック創刊物語』『長靴を履いた開高健』など。
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第37回 毎日、長文で書く精神科医のブログ

和田秀樹さん(1960年生まれ、精神科医)は毎日長文のブログを書いている。
400原稿用紙6、7枚におよぶことも珍しくない。
ざっと2月で単行本1分くらいの文章量を書いている勘定だ。

2008年6月28日にブログを開始して以来
ほぼ連日ブログを書き続けているということなので、
合計では単行本12冊分の文章をこれまでに書いたことになる。大変な労力だ。
あまたいるブロガーの中でも、これほど精力的にブログを書き続けているブロガーは珍しい。

「思いついたことを思いついたときに、いいたいことをいいたいときに書いているだけ。
書きながら、いろんな反応や反論を想定して、
それに対する文章をどんどん足していっちゃう癖がある。
それもあって文章が長くなる」

一日にブログに費やす時間の目安は30分ほど。
わずかな時間で原稿用紙6、7枚分の文章を一気に書ききってしまうのだから、
何事にも素早く反応する高速かつ独自の思考回路の持ち主なのだろう。

その作業を毎日欠かさず続けているのは、
ブログをはじめた頃のちょっとした勘違いと自らの性格による、
と精神科医らしく自己分析する。

「最初ブログというのは毎日書かなければいけないものだと勘違いしていた。
で、毎日書き続けているうちに私は強迫性格なので毎日書かないとダメになっちゃった」

強迫性格の特徴は一言でいうならば自分のペースが崩れると
感情不安定に陥りやすいこと。
平たくいえば、やるべきことを徹底しないと気が済まない性格ということである。

「強迫の一番大きなポイントは〝止められない・止まらない〟ということなんです。
たとえば手洗い強迫の人は徹底的に手洗いすることが止められないとか」

止められない・止まらない状態が高じて、かつ度を超すと、
自分で行動や感情をコントロールできない中毒症状(依存症状)を呈することになる。

「精神医学界では行為に対する依存ということが最近注目されている。
薬物依存とかアルコール依存のように物質に依存するのではなく、
行為に対する依存症ですね。たとえば買い物依存とかセックス依存とか。
行為そのものの魅力に取り憑かれて、
あるいは行為そのものが完全に強迫を完成してしまって依存になる。
現実世界が閉塞すればするほど、そういう症例が増えていく。ネット中毒もその一つ。
日本にもかなりの数のネット中毒者がいると思うし、今後さらに増えると思う」

強迫性格を自認し、2カ月に単行本1冊のペースでブログを書き続けている和田秀樹さん自身は
ネット中毒なのでは?と尋ねたら苦笑いされた。

「毎日ブログは書いてますが、30分程度で文章を書き終えて、
さっさと次の仕事に移ることができる。止められない・止まらないということではないので、
ネット中毒ではないと勝手に思ってますけど(笑)」

ネット中毒ではないが、ネットにつながっていないと不安を覚える
"オフライン不安症"の傾向はあるというのが和田さんの自己診断結果である。

和田秀樹さん「テレビで言えないホントの話」

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滝田誠一郎ブログ「私、ブログ評論家です。」