第60回 内容もジャンルも充実の映画ブログ
12月1日は「映画の日」。1896年11月25日から12月1日にかけて神港倶楽部(神戸市)で日本で初めて映画が上映されたのを記念して1956年に制定された。ということで、今週は間近に迫った「映画の日」にふさわしいブログを、にほんブログ村の映画ブログ人気ランキングBEST50の中からピックアップしてみた。
6754人が参加している人気ランキング堂々の第1位は「シネマ走り書き」。無駄にたくさん映画を見ているというkionaさんは自らのブログを〈映画のレビューというよりは単なるメモ〉と謙遜するが、一方で"観賞より体験"との意味を込めて映画を「観る」ではなく 「見る」 と表記するこだわりの人でもある。その映画評はほどよく辛口。たとえば「理想の彼氏」というラブコメを取り上げたときは、そのタイトルに噛みついて〈この邦題・・ 型にハマった古くさいバブリーなセンス〉と切り捨てている。辛口ではあるが、あと味は悪くない。そこが人気の秘密なのだろう。
順位はグンと下がるが、20位の「アスカ・スタジオ」は今回イチオシのブログだ。1952年頃から60年近くにわたって映画鑑賞記を書き続けているというアスカパパさんのブログ。アイウエオ順に分類して紹介されている映画は実に1645本にもなる。スゴい!の一言に尽きる。60年弱にわたって映画鑑賞記を書き続けてきたことは、その映画評の中に脈々と息づいている。たとえば10月31日付のブログでは74年に公開された「狼は天使の匂い」を紹介しているが、同映画に登場する湖畔の紅葉のシーンに触れて次のように書いている。〈因みに過去の映画で最も印象に残る紅葉は、1956年2月26日。SY京映のパナビジョン・スクリーンに映えた「ハリーの災難」。こんな美しい紅葉画面をその後も見た事が無い。が、映画の紅葉は、ただ美しいだけでは物足りない。「あゝ野麦峠」(79)で、「兄さ、飛騨が見える」背中の妹最後の言葉には、野麦峠の紅葉も嗚咽して居た。この様な紅葉でなければ。と思う〉。60年弱の蓄積がなければ書けない文章である。往年の名画ファンにはたまらないブログだ。
映画ブログの中には、内容が充実していて完成度も高いのに、それが仇になっているブログも少なくない。詳細に内容を説明しすぎるためにネタバレになっていたり、ネタバレにはなっていなくてもストーリーがあらかたわかってしまって観る前に興味が半減してしまうようなブログだ。6位「すきなものだけでいいです」、8位「殿様の試写室」、14位「Cinema Cafe~シネマ・カフェ~」などだ。こういうブログは、映画を観たあとに読んだほうが、かえって面白いかもしれない。
BEST50の中には特定のジャンルの映画に特化したブログもある。もっとも目につくのはホラーやカルト映画。18位「デストピア経典~曼荼羅畑でつかまえて」、28位「Horrormen's BAR "REDRUM"」など。コアなファンが多いのだろう。レズビアン映画に特化した44位「LESBIAN CINEMA PARADISE」、ゲイ映画に特化した49位「ゲイ映画ベスト50?」などというブログもある。これはこれでまたコアなファンが多いということなのだろう。
ランキング1位の「シネマ走り書き」(上)と20位の「アスカ・スタジオ」のブログのトップページ
◆映画ブログ人気ランキング(上位50より選出)◆
1位 シネマ走り書き
6位 すきなものだけでいいです
8位 殿様の試写室
20位 アスカ・スタジオ
49位 ゲイ映画ベスト50?
にほんブログ村(10月31日現在)から
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たきた・せいいちろう 1955年生まれ。ノンフィクション作家/ブログ評論家。
著書に『65歳定年時代に伸びる会社』『ビッグコミック創刊物語』『長靴を履いた開高健』など。
■ブログ「わたし、ブログ評論家です。」
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