2010年9月
第54回 1日約22万人が読む「あの女」
人気ブログ「あの女」を書き続けているゴマブッ子さん(男性)が、インタビュー当日に持ってきてくれた直近1カ月のアクセス数一覧を見て唖然とした。月間の総アクセス数(PV/ページビュー)が2307万5826件にも達しているからだ。内訳はパソコンからのアクセス数が約208万件、携帯からのアクセス数が約2100万件。アクセス者数(UU/ユニークユーザー数)は64万452人。これはパソコンからのアクセス者だけの数字。PV数から想像すると、携帯からのアクセス者数はざっと600万人ほどになる計算だ。
パソコンで「あの女」を読んでいる人が1日平均約2万人、携帯で読んでいる人が約20万人、合計のPV数が1日平均約77万に達すると書いたほうが、同ブログの人気のすさまじさを、より実感しやすいかもしれない。
人気に目をつけた出版社から声がかかり、これまでに2冊の本──『あの女』(07年8月、青山出版社)、『女のしくじり』(09年12月、ヴィレッジブックス)──が出版されている。1冊目は初版ほぼ完売、2冊目は現在7刷目で累計3万部近い売れ行きだというから成績は上々。2冊目の『女のしくじり』は読者からの反響も大きく、それがきっかけになってブログの内容が大きく変わった。
「それまでは身の回りにいる変な女、面白い女をネタにしたギャグっぽい文章を書いてました。ところが『女のしくじり』が出版されてからぽつぽつとお悩み相談のメールが送られてくるようになり、それに答えているうちに今のQ&A形式になったんです」
送られてくる悩み相談メールは1日に30~40通にもなる。圧倒的に多いのは20代の女性からの相談だが、10代半ばの少女や40代、50代の熟女からの相談もときおり混ざる。そのすべてに目を通して2~3通を選び、ブログで取り上げていいかどうかを本人に確認した上で回答を書き、ブログにアップする。毎日2時間近くかけてその作業を繰り返している。相談内容のほとんどは、恋愛がらみの男女間のいさかい、いざこざ、あれやこれや。「未婚の女性の場合は、付き合っている彼とのことがほとんどですね。なかなか関係が進展しないとか、彼の気持ちが分からないとか、喧嘩したとか。既婚の女性の場合は、夫の浮気や自分の不倫とか。なかにはかなり深刻な相談もありますが、相談者を必要以上に追いつめたり傷つけたりしないよう、またブログを読んだ人が気分を悪くしないようにということを考えて回答を書いています」
ちなみに〝ゴマブッ子〟というニックネームは「あの女」を書きはじめた頃に好きだった歌手の後藤真希(愛称ゴマキ)と俳優の妻夫木聡(愛称ブッキー)の名前に由来する。ブログのプロフィール欄には〝綺麗売りに大失敗したモテないゲイ日本代表〟とある。ゲイにとっては一人称が〈あたし〉、二人称が〈あんた〉、そして三人称が〈あの女〉なのだそうであって、ブログのタイトルはこのゲイ言葉から来ている。「ゲイだということは周囲にカミングアウトしていないので、だからブログを書いていることも誰にもいってません」──ということで今回顔写真が出せないのだが、実物のゴマブッ子さんはイラストよりもずっと素敵だということを一言付け加えておく。
「あの女」
ゴマブッ子さんの似顔絵
画=小迎裕美子さん
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たきた・せいいちろう 1955年生まれ。ノンフィクション作家/ブログ評論家。
著書に『65歳定年時代に伸びる会社』『ビッグコミック創刊物語』『長靴を履いた開高健』など。
■ブログ「わたし、ブログ評論家です。」
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第53回 求人もツイッターの時代に
2011就職戦線では、ツイッターを利用して採用活動を行った会社がネットで話題になった。価格比較サイトなどを運営するECナビの宇佐美進典(しんすけ)社長は、今年1月16日ツイッターでこうつぶやいた。[ECナビでは2011新卒採用人数は10名の予定ですが、ツイッター経由でのみ募集予定。詳細は来週に]。翌週21日につぶやいた詳細は以下の通り。[2011卒業の方、かつtwitterアカウントで10名以上のフォロワーがいる方を対象に社内見学&若手懇談を2月上旬に開催します。参加希望の方はRTで「ECナビ入りたい!」で]
フォロワーとは登録読者のこと。友だち同士でフォローしあえば10人くらいのフォロワーはわけなく集まるので、これ自体は有って無きがごとき条件といえる。RTは返信を意味する。宇佐美社長のつぶやきはネットニュースで取り上げられたこともあり、1月28日には学生からのRTが予定していた100件に達し、その時点で応募は打ち切られた。
ネット広告大手サイバーエージェントの藤田晋(すすむ)の追加募集始めました。RT歓迎です!詳しくは今書いた私のブログで→]。→のあとに記されたURLをクリックすると藤田社長のブログに飛び、そこにエントリー用のURLとログイン後に必要となるパスワードが記されている。このURLとパスワードを知っている学生だけが応募できる仕組みだ。あえてこのような仕組みを採り入れた理由は、通常の採用方法だと学生が殺到しすぎるからだと藤田社長は自身のブログに書いている。人気企業ならではの贅沢な悩みだ。
新卒採用にツイッターやブログを利用するケースはまだ少ないが、中途採用やアルバイトの採用にツイッターやブログを使うことは今や珍しいことではない。そういえば週刊朝日編集部も、公式サイト「談」で配信する動画番組のアシスタントを少し前にツイッターで募集していたっけ。
コストをかけずに、必要なときにタイムリーに募集をかけることができるツイッターやブログを利用する企業は、これからどんどん増えていくに違いない。単に募集するだけにとどまらず、それらを使って応募者を選別する企業も増えることが予想される。たとえばECナビはフォロワー10人以上を応募条件にしていたが、世界最大の家電量販店ベスト・バイ(米)が09年にシニアマネージャーを募集したときは、ツイッターのフォロワー250人以上が応募条件の一つになっていた。250人ものフォロワーは一朝一夕に集められるものではないので、この応募条件はかなり厳しい。
アメリカでは応募者名をググって(グーグルで検索すること)採否の参考にしている企業も少なくないという。応募者が日頃ブログに何を書いているか、ツイッターでどのようなことをつぶやいているかを調べ、それによって人物評価を行い、採否の判断材料にするわけだ。
ググっても何もヒットしないのもまた問題。ネットを使いこなしていない、ネット・リテラシーが低いと判断されてしまうからだ。そうしたことを判断するために、履歴書にブログのURLやツイッターのアカウントを書かせる企業が登場するのも、そう遠いことではなさそうだ。
・新卒採用の情報を載せる宇佐美社長のブログ画面(上、1月27日)
・藤田社長のブログ画面(下、3月15日)
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たきた・せいいちろう 1955年生まれ。ノンフィクション作家/ブログ評論家。
著書に『65歳定年時代に伸びる会社』『ビッグコミック創刊物語』『長靴を履いた開高健』など。
■ブログ「わたし、ブログ評論家です。」
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第52回 質の高い写真ブログ
当世デジカメ用語抄録──【コンデジ】コンパクト・デジタルカメラの略。【デジイチ】デジタル一眼レフカメラの略。デジ一と表記したりもする。イチデジという言い方もあるが少数派である。【カメラおやじ】中高年になった往年のカメラ小僧。【カメラ女子】写真に夢中になっている女性のこと。女子といっても年齢層は幅広い。【デジイチ女子】デジイチを使いこなすカメラ女子の進化系。時間的経済的に余裕のある中高年女子の間で増殖中。【写真ブログ】カメラおやじやカメラ女子、デジイチ女子が自分で撮った写真の発表の場として活用しているブログ。ブログ人気が出版社の目に留まり、写真集として出版される例も少なくない。以下、人気ブログランキングに参加している写真ブログ2193件の1~5位を紹介する。バラエティーに富んだ質の高いブログが揃っている。
◆1位「動物中心の写真日記」 多摩動物公園(東京・日野市)の動物たちを撮った写真が中心。なかでもお気に入りはユキヒョウ、チーター、トラといったネコ科の猛獣たち。ネコの仲間だと実感する可愛らしい表情や仕草と、肉食獣の野性を感じさせる精悍な表情と動作、その二面性を巧みに撮り分けているところに人気の秘密がありそうだ。
◆2位「徒然なるままに、、信州の四季自然風景」 長野県南部・伊那谷のほぼ中央に位置する駒ケ根市は、東に南アルプス(赤石山脈)、西に中央アルプス(木曽山脈)の3000メートル級の山々を市街地から望むことができる。そんな地の利を生かして、同市在住の会社員が四季折々の風景を撮り続けている。年間を通じて見続けていると、信州が自分の故郷であるかのような親近感を覚える。
◆3位「森ねこさん」 写真を撮り続けている寝子さん(仮名)は根っからの猫好き、折り紙付きの猫好きだ。猫のブリーダーとして17年の経験を持つ寝子さんは現在、東京都動物愛護推進員、NPO法人<CODE NUMTYPE=UC NUM=845B GLYPH=7652>飾区・江戸川区・地域ねこの会代表、「オールアバウト」の猫ガイドなどを務めている。ねこ観察家、ねこ写真家、ねこライターの肩書も持つ。肩書の数もさることながら、寝子さんが撮る猫の写真を見て、写真に添えられた文章を読むと、人並み外れた猫好きであることがひしひしと感じられる。
◆4位「スズメ三昧2」 スズメはもっとも身近にいる鳥だが、当たり前すぎて誰も注意を払わない鳥でもある。そんなスズメにレンズを向けたところが、着眼点としては何ともユニークであり、出色だ。レンズを通して子細に観察したスズメの表情は、まるで別の鳥を見ているような気がするほど新鮮だ。
◆5位「超高層マンション・超高層ビル」 自身が住む超高層マンションからの眺望や、次々に造られる国内外の超高層ビルや超高層マンションを被写体にして写真を撮り続けている中谷幸司さんのブログ。これまでに『超高層ビビル 日本編』『超高層ビビル2 香港・マカオ・深セン・広州・台湾』『超高層ビビル3 ドバイ編』という3冊の写真集が出版されている本格派だ。
「森ねこさん」http://morineko3.blog63.fc2.com/(上)
「超高層マンション・超高層ビル」http://bluestyle.livedoor.biz/(下)のトップページ
■人気写真ブログランキング(9月7日現在)
1.「動物中心の写真日記」
多摩動物公園のネコ科の猛獣を中心にした動物写真ブログ
2.「徒然なるままに、、信州の四季自然風景」
長野県駒ケ根市在住の地の利を生かした風景写真ブログ
3.「森ねこさん」
森の木の上で暮らしているネコとの交流を撮り続けているネコ写真ブログ
4.「スズメ三昧2」
スズメの表情、仕草を撮り続けているまさにスズメ三昧のブログ
5.「超高層マンション・超高層ビル」
日本はもとより海外にまで遠征して超高層ビルの写真を撮っているブログ
(人気ブログランキング「写真ブログランキング」から)
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たきた・せいいちろう 1955年生まれ。ノンフィクション作家/ブログ評論家。
著書に『65歳定年時代に伸びる会社』『ビッグコミック創刊物語』『長靴を履いた開高健』など。
■ブログ「わたし、ブログ評論家です。」
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第51回 哀愁と笑いのイラスト川柳
夢を叶えるための足がかりとして、世に出るための登竜門と考えて、ブログを更新し続けている人が少なからず存在する。同人誌に投稿したり、出版社に作品を持ち込む代わりにブログに作品を投稿し続けている小説家志望、漫画家志望のフリーターや主婦や会社員たち、芸能界デビューを夢見てブログを使った売り込みに懸命な若者たち等々。
札幌在住のフリーのイラストレーター、アカツキさん(34歳)もその一人。いつかは自分の作品集を出版したいという夢を叶えるために、ブログ「部長川柳」を毎日更新し続けている。「以前、部長のキャラを使った作品を某出版社の方に見ていただいた際に、〝面白いと思うけど今はそれだけじゃ出版はできないんだよね。100%売れるという裏付けがないと無理〟といわれて反骨心に火がついた。よし、自力で何とかしてやる、と。そう思ったのがブログをはじめたきっかけです」
2005年4月11日にスタートした「部長川柳」は、得意とする部長キャラに川柳を組み合わせた一コマ漫画。アカツキさん自身はこれを〝おっさんの習性と笑いのイラスト川柳〟と表現する。
「昔からおっさんのしぐさや、ふとした一言に笑ってしまう癖があって、おそらくぼくはおっさんの味とか哀愁、余韻が好きなんですね。おっさんと川柳は妙にマッチして、作品がびしっと締まる。その組み合わせを思いついたときに、これが自分にあったスタイルだと確信したというか。まさか、それから5年もの間、毎日川柳を作り続けることになるとは夢にも思っていませんでしたけど(笑)」
5年間ほぼ毎日「部長川柳」を更新し続けてきた甲斐あって、アカツキさんが生みだした部長キャラはいくつかの商品にもなっている。過去においてはポストカードに採用され、さっぽろテレビ塔地下のテレ地下ショップで販売されたこともある。札幌観光の定番スポットの一つなので、目にしたことがある人もいるかもしれない。
現在は「部長川柳あぶらとり紙」(全8種。1つ税込み378円)が発売されている。男性に売れるあぶらとり紙を考えていた企画会社の目に留まり、商品化されたもの。また今年7月には携帯電話の待ち受け画面などをカスタマイズするための「部長川柳きせかえツール」(税込み525円)も発売になった。同ツールをダウンロードすると、たとえば待ち受け画面には「部長川柳」の6つのバージョンがランダムに画面に表示されるようになる。東京の携帯用コンテンツの企画開発会社の社員が札幌を訪れた際に偶然「部長川柳」のポストカードを見て、それが縁できせかえツールが販売されることになったのだという。「これからも『部長川柳』の書籍化、連載化、グッズ化に向けてコツコツ頑張っていくつもりですので、よろしくお願い致します!」
ちなみに、部長キャラはあくまでもアカツキさんの創作であって、本人とはまったく似ていないそうだ。念のため付け加えておく。
■「部長川柳」 http://ameblo.jp/buchosen/
納豆だろ(左)、あ然(右)
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たきた・せいいちろう 1955年生まれ。ノンフィクション作家/ブログ評論家。
著書に『65歳定年時代に伸びる会社』『ビッグコミック創刊物語』『長靴を履いた開高健』など。
■ブログ「わたし、ブログ評論家です。」
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