2010年7月
第45回 アルファブロガーの人気の秘密(前編)
「池田信夫」の4文字を見て、すぐにピン!と来る人が週刊朝日の読者の中に果たしてどれだけいるだろうか? 意外に少ないのではないだろうか。
1953年生まれ。78年、東大経済学部を卒業してNHK入局。93年、NHK退職。国際大学GLOCOM助教授、同教授を経て、01年に独立行政法人経済産業研究所上席研究員。現・上武大学大学院経営管理研究科教授、SBI大学院大学客員教授。電子出版を手がけるアゴラブックスの代表取締役も務める。活字の世界では「池田信夫」はこのような経歴、肩書の持ち主として説明されることになるが、ネットの世界における「池田信夫」の説明はまったく異なる。大人気の「池田信夫blog」で知られるアルファブロガーであり、〝言論プラットフォーム〟を標榜するオピニオンサイト「アゴラ」の編集長であり、そしてツイッターにおいては[ikedanob]のアカウントで精力的につぶやいている経済学者──それがネットにおける「池田信夫」だ。
アルファブロガーとはネット世論の形成に強い影響力を持つ一握りのブロガーを指す和製英語。そのアルファブロガーの中でも池田さんは一目置かれている存在だ。ネットの世界では超有名人なのだ。主に政治、経済、IT絡みの記事を書いている「池田信夫blog」の読者は1日平均2万人、月間のページビュー(PV)は150万に達する。編集長を務める「アゴラ」の読者は1日約1万人、月間PVは約100万。ツイッターのフォロワー(=登録読者)数は7月19日現在で5万4303人を数える。
「僕自身、何でこんなにアクセスがあるのかわからない。別にわかりやすく親しみやすく面白く書いているわけじゃないし、どちらかといえばぶっきらぼうで、わからないヤツはわかんなくていいよという書き方なので。あえていうならば消去法だと思いますね。他に読むに値するブログがないから、情報として価値のあるブログがないから、その裏返しで僕のブログが読まれているということなのでしょう。僕自身、日本語で書かれたブログで定期購読しているものは一つもないですから」(池田さん)
なぜ読むに値する日本語のブログがないのか、そもそも池田さんにとって読む価値があるブログとはどのようなものなのだろうか。「政治、経済、社会、IT関係のニュースサイトを海外のものも含めて15くらい定期購読してる。ニュースサイトを読めば、その日の出来事とかそれに対する論評とかはわかる。なのでニュースサイトでは書けないこと、ニュースサイトではおよばない高いレベルのことを書いてあるのが僕にとっては読む価値のあるブログ。海外にはそういうブログが結構あるのに、残念ながら日本には存在しない。
なぜないのか。一言でいえば日本のブログは圧倒的に匿名のブログが多いから。誰が書いているのかわからない匿名のブログなんて情報源としてぜんぜん価値がないし、そもそもレベルが低い。僕自身はずっと実名でブログを書いているので、それがアクセス数につながっているのかもしれない」
(後編に続く)

■「池田信夫blog part2」
http://ikedanobuo.livedoor.biz/
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たきた・せいいちろう 1955年生まれ。ノンフィクション作家/ブログ評論家。
著書に『65歳定年時代に伸びる会社』『ビッグコミック創刊物語』『長靴を履いた開高健』など。
■ブログ「わたし、ブログ評論家です。」
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第44回 不用意な発言から会社を守れ!
社員がブログに書いた内部告発が原因で会社が経営の危機に瀕したり、ツイッターに投稿した不用意なつぶやきが原因で水面下で進んでいたM&A話がとん挫したり──というようなことがあっても何ら不思議ではない。だれもが自由に発言できるネット社会はそういうリスクも孕んでいる。
昨年3月にトレンドマイクロ社が発表した情報セキュリティー意識に関するアンケート結果は、社員一人ひとりがリスク因子になる可能性を示唆している。「登場する知人・友人の氏名や勤務先名が匿名であれば、会社での出来事をブログなどに書き込む行為を許せるか?」という設問に対し、社会人の回答者(20歳以上の正社員721人)の60.7%が「許せる」「やや許せる」と回答しているのだ(図1)。この結果を踏まえて、トレンドマイクロ社は個人として情報発信する場合のマナーやルール、業務に関わる情報の取り扱いなどに関する情報セキュリティー教育が急務であることがわかったとしている。それもそのはず。社名や部署名、個人名などが匿名であったとしても、内容を吟味すればそれらを特定することは可能であり、社名等が特定されれば冒頭に書いたようなリスクが現実のものになることもあり得るからだ。
こうしたリスクを回避するためには情報セキュリティー教育の実施と同時に明確なガイドラインを示すことが必要だが、実際には無防備な会社が少なくない。
今年4月、日本IBMは自社のウェブサイトに「ソーシャル・コンピューティング・ガイドライン」を公開した。2005年に米IBMが策定したガイドラインの日本語版で、ブログやSNS等で社員が個人的に情報発信する際に遵守すべきルールがまとめられている。日本企業にとっても手本になる内容なので、以下にその概略を紹介する。
・掲載した内容には個人的に責任を持つ。
・IBMに関連することを書く際には氏名を明らかにする。一人称を使って書き、書いた内容は個人的見解でありIBMの意見を代弁するものではないことを明確にする。
・IBMに関する話題をブログで公開する際には次のような免責文を入れる。「このサイトの掲載内容は私自身の見解であり、必ずしもIBMの立場、戦略、意見を代表するものではありません」
・人種に関連した中傷や特定の個人への侮辱、猥褻な内容、IBMに対する不利益行為などを禁止する。
・IBMおよび他者の機密情報や専有情報を提供してはならない。個人情報またはIBM内部の情報とみなされる内容を発表、言及する場合は許可を得ること。
・承認を得ずに顧客、パートナー、サプライヤーを引き合いに出したり、言及したりしてはいけない。言及する場合においてはソースへのリンクを張る。
・間違いがあれば素早く訂正する。ただし過去の掲載内容を断りなく変更してはいけない。
・値打ちのある情報と見識を提供する。IBMのブランド価値は社員により示されると同時に、社員のブログの内容等がIBMのブランド価値を左右するものであることを忘れないこと。
〝声なき民〟という言葉があるが、今や一般の民も気楽手軽に発言できる時代だということを経営者は肝に銘じておくことが必要だ。

トレンドマイクロ社の調査結果(HPから引用)
対象:新社会人(2009年4月1日に就職予定の20歳以上310人)と社会人(20歳以上の正社員721人)

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たきた・せいいちろう 1955年生まれ。ノンフィクション作家/ブログ評論家。
著書に『65歳定年時代に伸びる会社』『ビッグコミック創刊物語』『長靴を履いた開高健』など。
■ブログ「わたし、ブログ評論家です。」
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第43回 写真満載 ! ほのぼの犬ブログ
愛犬家と愛猫家の数は飼育頭数で見る限り拮抗している(犬約1232万頭、猫約1002万頭/ペットフード協会2009年度推計)。ところがブログの世界では数的には愛犬家が愛猫家を圧倒している。会員数900万人を誇るアメーバブログには犬をテーマにしたブログが3万1345あるのに対して、猫をテーマにしたブログは約半分の1万6895にしかすぎない。
ブログのランキングサービスを提供しているサイト「にほんブログ村」には45万人弱のブロガーが登録しているが、ここでも犬ブログ3万3509に対して猫ブログ1万5884とダブル・スコア状態。ちなみににほんブログ村には全部で121のカテゴリーがあるが、その中で登録ブログ数が3万を超えているのは犬ブログ(2位子育てブログ2万8107、3位ライフスタイルブログ2万4658)だけ。いかに愛犬家ブロガーが多いかがわかるというものだ。
数の上では猫ブログを圧倒している犬ブログだが、人気の点ではその立場は逆転する。猫ブログの人気はすさまじく、にほんブログ村の総合ランキングベスト10のうち1~4位、6、10位を猫ブログが占めている。大人気なのである。犬ブログも5位と7位に入る健闘ぶりなのだが、猫ブログの人気にはおよばない。
犬ブログも猫ブログも、ブログの作りはよく似ている。愛くるしい表情を見せるペットの写真を何枚か貼り付け、写真にセリフを書き加えたり、写真の上下にキャプション風の言葉を書き足して日々のエピソードを綴る〝実写版ペット漫画〟のような作りが定型、定番だ。今回紹介する犬ブログの人気ランキングベスト5に入っているブログもすべてそのような作りになっている。もちろんランキング上位の人気ブログには定型プラスαの魅力がそれぞれある。
ランキング1位の「ニュージーランドちわわん生活」のプラスαの魅力は、軽妙な文章にある。可愛いペットの写真と読んで面白い文章が組み合わされば人気が出るのも当然というものだ。
2位の「日めくりうにさん」は写真の多さがプラスαの魅力で、可愛らしいうにさん(トイプードル・2歳)の写真が毎回二十数枚アップされている。平均して4~5枚の写真で構成しているブログが多い中にあって、同ブログの写真の多さは突出している。
3位の「子ナシ夫婦の犬育て」のプラスαの魅力は愛犬2匹のキャラ設定がはっきりしているところ。気が小さくておっちょこちょいで八方美人のももと、身体は真っ白、心は真っ黒、下剋上を夢見る内弁慶の小梅というキャラ設定が日常のエピソードを書く上でちょうどいいスパイスになっている。
4位の「ポチのほのぼの日記」は、愛犬ポチの顔のアップにこだわった写真がプラスαの魅力。ときにアザラシの赤ちゃんのようにも見える顔が、ほのぼのとした気分にさせてくれる。
5位の「羊の国のラブラドール絵日記NEW!!」はニュージーランド在住のゆうさんが描く絵が最大の魅力。ときにイラスト風、ときに4コマ漫画風に描かれる2匹のラブラドールがいい味を出している。
※数字はいずれも7月5日現在
■犬ブログ人気ランキング(7月5日現在/にほんブログ村から)
1.ニュージーランドちわわん生活
2.日めくりうにさん
3.ポチのほのぼの日記
4.子ナシ夫婦の犬育て
5.羊の国のラブラドール日記NEW!!
1位の「ニュージーランドちわわん生活」(上)
イラストが人気の「羊の国のラブラドール絵日記NEW!!」(下)


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たきた・せいいちろう 1955年生まれ。ノンフィクション作家/ブログ評論家。
著書に『65歳定年時代に伸びる会社』『ビッグコミック創刊物語』『長靴を履いた開高健』など。
■ブログ「わたし、ブログ評論家です。」
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第42回 ドタバタ家族の爆笑4コマ
4コマ漫画を描く上で影響を受けた人は?とたずねると、
少々意外な答えが返ってきた。
『アサッテ君』の東海林さだお氏や
『がんばれ!!タブチくん!!』のいしいひさいち氏などの
名前を期待していたのだが、はなさんの答えは「両親や親戚」であり、
同県人(大分県)のとんち名人「吉四六さん」だった。
「両親や親戚がみな話術が巧みでおかしい。
素人なのに必ず話にオチをつけて笑わせる話術の持ち主ばかりで、
私も幼少の頃からそういう話術を身につける訓練を積まされたのかもww。
それと大分は吉四六さんに代表されるように、
人々が集まると必ず誰かが面白いことをいって
笑わせる話芸の伝統があるんだそうです」
この血筋と地域性を色濃く受け継いでいる妖怪系天然ユルキャラの
一人息子「おりぇくん」(小学3年生)を中心に、
宿題を忘れて立たされる夢にうなされ続けている
小学生並みの精神年齢の持ち主である夫「クロとら」、
そしておりぇくんの母であり、クロとらさんの妻である「はな」さんの3人からなる
ちくわ家のほぼノンフィクション4コマ漫画ブログ、
それが「ちくわの穴から星☆を見た *4コマ」だ。
「息子も夫もこちらの想像を超えた言動をする大人物で、
それをきちんとハンドリングすべきお母さん役の私までが
かなり抜けてますので家の中は常にドタバタ。
良妻賢母のママも賢いハジメちゃんもいないバカボン一家だと
思っていただくとよろしいかと」
はなさんがブログを立ち上げたのは2005年12月のこと。
今年12月で丸5年になる長寿ブログであり、
累計1200万ヒットを超える大人気ブログである。
「出産後、育児に追われて自分の時間がゼロになってしまい、
その閉塞状況から逃げ出したい一心で
子供が1歳になると同時に再就職したのですが、
これがパワハラが蔓延する非常に閉鎖的な職場で、
慣れぬ子育てとあいまって心身ともに疲労困憊してしまいました。
そんなときに、小さな世界に閉じこもってイジイジしている自分に危機感を感じ、
もっと広い世界と関わりたいという必死の思いで辿り着いたのがブログでした」
「最初はやむにやまれぬ思いからはじめたブログですが、
問題の職場を1年で退職してフリーのイラストレーターとして復職してからは、
オリジナルのエッセイマンガを描くという
仕事上の目標を叶えるための〝仕事の看板〟であり〝修業の場〟として
ブログをとらえるようになりました。
目標に近づいているかどうかはわかりませんが、
漫画をアップすると同時に寄せられる読者の生のレスポンスや、
読者との双方向のやりとりを通じて、
描き手としてブログに育てられているという実感はすごくあります」
ちなみに「ちくわの穴から星☆を見た」という風変わりなタイトルの由来は、
記念すべき第1回投稿(05年12月16日)に軽妙に記されている。
吉四六さんばりのとんちの効いた文章はなかなか面白いのでご一読アレ。
■「ちくわの穴から星☆を見た *4コマ」
http://ameblo.jp/pohoo/
(左)母のささやかな夢、(右)風邪で発熱!


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たきた・せいいちろう 1955年生まれ。ノンフィクション作家/ブログ評論家。
著書に『65歳定年時代に伸びる会社』『ビッグコミック創刊物語』『長靴を履いた開高健』など。
■ブログ「わたし、ブログ評論家です。」
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