本誌人気コラムが「談」に登場!ブログ時評、Asablo(アサブロ)。評論家・滝田誠一郎が話題のブログ&ツイッターを総まくり トップに戻る

2010年5月

第36回 各国で増殖するネット中毒

今年4月、愛知県豊川市で一家5人が死傷するという事件があった。
容疑者は引きこもり状態だった同家の長男(30歳)で、
インターネットの接続契約を家族が解約したことに
腹を立てての犯行だと伝えられている。
ネットショッピングやネットオークションで大量の買い物をしていたことから、
家族は長男を"買い物依存症"だとみなしていたようだが、

これはネット中毒/ネット依存症(英語ではIAD=Internet Addiction Disorder、
インターネットホリックともいう)の一種と考えるべきだろう。
ネットゲームにはまっている人を
ネトゲ中毒(重症の場合はネトゲ廃人)といったりするが、
それにならえば、さしずめネッショ中毒である。

インターネットの普及に伴ってネット中毒者が世界中で増えている。
日本より一足先にインターネットが普及した韓国のネット中毒者は
いまや200万人近く(全ネットユーザーの8.8%)にも達し、
大きな社会問題になっている。

世界最多となる3億人強の"網民"(ネットユーザー)を抱える中国の、
青少年のネット中毒者数は、
中国青少年インターネット協会の今年2月の発表によると、
この4年ほどで6倍に増えて約2400万人。
ネット中毒者の数においても世界最多であることは間違いない。
こうした状況を踏まえて、韓国も中国も国を挙げて
ネット中毒の予防ならびに治療に取り組んでいる。

韓国政府は今年3月、「インターネット中毒予防および解消総合計画」を発表した。
各年代を対象にしたネット中毒予防教育の強化、ネット中毒に関する相談窓口の増設、
ネットの利用時間を制限するソフトの無料配布等々によって2年後までにネット中毒率を
全ネットユーザーの5%以下にすることを目標にしている。

ネット中毒の治療にも熱心で、子供を対象にした政府主催の
"更生キャンプ"などというものも実施されている。
期間は12日間。この間ネット利用が禁止されるのはもちろん、
携帯電話の使用も1日1時間に制限される。
薬物中毒やアルコール中毒の患者の矯正施設で
実施されている軍隊式のハードなトレーニングもプログラムに組み込まれているという。

中国ではネット中毒が"繰り返しネットを使用することで
一種の精神障害をきたした状態"と定義づけられていることもあって、
国営のものも含め専門の治療施設が各地に存在するといわれている。
鍼治療や漢方薬による治療法を実施している施設があるとか、
何やら恐ろしげな電気ショック療法を採り入れている施設があるとか、
いや電気ショック療法は禁止されたらしいというような話が
ネット上で以前話題になったことがある。

アメリカにもかなりの数のネット中毒者が存在するはずだが、
米国精神医学界がネット中毒を精神疾患として認定していないためか、
中毒者数や治療施設などの実態ははっきりしない。
昨年9月、ネット中毒に特化した更生プログラムを提供する初の滞在型療養施設が
オープンしたことがCNNで報じられて話題になったくらいだから、
専門の治療施設はあまり存在しないのかもしれない
(全州に同様の施設があるという話もあるが定かではない)。

では日本はどうか?
日本ではネット中毒/ネット依存症の予防や治療態勢はまったく手つかずというのが現状。
早急な対応が望まれる。

昨年9月、アメリカにオープンしたネット中毒者のための更生プログラムを提供する滞在型療養施設


ネット中毒ブログ01-thumb-240x240-244.jpg



第35回 就職氷河期の福音ブログ

2008年9月のリーマン・ショックを引き金にした
"100年に一度の大不況"の影響をもろに受け、
新卒者の就職戦線は厳しい状況が続いている。

バブル崩壊後の就職氷河期を上回る超就職氷河期などともいわれるほどだ。
厳しい就職戦線を戦い抜かなければならない学生も大変だが、
そういう子供を見守る銃後の親もまた気が気ではない。
『ウチの子内定まだなんです──我が子の就活にどう関わるべきか』
というような本が就活本ランキングの上位にきていることからも、
就活生を持つ親の不安心理がうかがえるというもの。
ということで今回は就活生はもちろん、
就活生の親が読んでも参考になる就職活動ブログランキングを紹介する。
ランキング1位は就活プロデュースセンターのヒゲ教授こと小澤明人さんの
「 世界一分かりやすい『就活授業』」。
マニュアル指導は大嫌いというヒゲ教授の本音トーク、辛口トークが人気の秘密。

〈大手企業に落ちた学生さんに告ぐ! 要! どッ...でかい反省〉
〈自己分析? 自己PR? それが自分の全てか? 
たった20年ばかりの経験で値踏みしていたら、自分自身がかわいそうだ〉
〈大学受験はカリカリ・コツコツ。就職活動は、
「度胸と愛嬌」で突破!...んなワケには行かない〉
といった具合である。

2位の「Sign~就活の道しるべ~」は、各地の大学・専門学校・高等学校などで
就職・キャリア支援の講師をしている篠原功治さん(キャリアカウンセラー)が
書いている就職活動のアドバイスブログ。
わかりやすい構成と丁寧な説明がその持ち味。
面接に臨む前の最終対策──
それは自分が一番テンションが上がる曲を聴いて会場へ行くこと!
などというアドバイスはなかなか新鮮だし説得力もある。

3位の「『差をつける就活』講義中」は就活のコーチをしている
ソクラッテスさんが書いているブログ。
熱血タイプのコーチらしく、ブログには熱い言葉がちりばめられている。
〈就活は「自分を発見し、自分を発信する」ことに尽きる〉
〈大手企業の奴隷(?)になるなよ〉
〈君には未来がある...未来は常に明るいものだ。
七色の虹のかかる自分の未来を、信じ切れるか否かにかかっている〉等々。
気恥ずかしくなるくらいヒートアップした文言が並んでいるが、
これくらいでなければ人生の岐路に立って不安が一杯の就活生の心には響かないのかもしれない。

4位の「就活3分講座(さとう日記)」は現役の人事マン、
さとうさかえさんによる就活生応援ブログ。
学生を選考する立場から見た応募書類の書き方、
面接での自己PRの仕方などは、やはり説得力がある。

5位の「就活学び塾」は、人材派遣や人材教育を手がける
シーフォレスト社が運営する就活学び塾の山本和史代表が書いているブログ。
就活は内定をもらうことのみがゴールではなく、過去の自分を振り返り、
未来の自分を変えることができる素晴らしい機会だと位置づけている点が
他のブログとは異なる特徴になっている。

ブログによってそれぞれ特徴があるが、取り上げている項目はほぼ同じ。
自己分析、自己PR、志望動機、面接対策、業界・企業・仕事研究。
この就活5大要素について親子で話し合ってみるのも一興だ。
思ってもみない活路を見いだせるかもしれない。

 

「世界一分かりやすい『就活授業』ヒゲ教授」のトップページ

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就職活動人気ブログランキング(5月7日現在)

1 世界一分かりやすい「就活授業」ヒゲ教授http://ameblo.jp/higekyojyu/

2 Sign~就活の道しるべ~ http://blogs.yahoo.co.jp/ks690630o

3 「差をつける就活」講義中 http://ameblo.jp/syukatsu-coach/

4 就活3分講座(さとう日記) http://ssatoblog.blog47.fc2.com/

5 就活学び塾 http://ameblo.jp/kyamamoto55/

 

■滝田誠一郎ブログ「私、ブログ評論家です。」
http://ameblo.jp/blog-hyoron

第34回 笑える思い出を4コマに(後編)

ブログ界にはさまざまな人気ランキングが存在する。
ランキングで上位(できれば10位以内ないしは30位以内)に入ることが人気ブログの証しであり、
ブロガーの勲章であり、そのためランキングを少しでも上げることに血眼になり、
ランキングのアップダウンに一喜一憂するブロガーが少なくない。

〈4コマ漫画〉や〈絵日記〉といったジャンルのランキングでは
知る人ぞ知る人気ブロガーのきんととさんもかつてはそうだった。
「ランキングを気にしすぎてブログに追われる生活だった」と振り返る。

ランキングを上げるために、またランキングを維持するために
ブログを毎日更新するのは当たり前。きんととさんは人気ブログ「官公庁のバイトさん」(略称)の
4コマ漫画を1本仕上げるのに3時間かけるというから、
それだけでもブログに追われる生活が容易に想像がつくというもの。

それに加えてブロガー同士の付き合いもおろそかにできない。
ブログにコメントを書き込んでくれたブロガーに対しては、
返礼として相手のブログにコメントを書き込む(コメント返しという)。
ブログを見た形跡(足跡とかペタという)が残っていたら、
その人のブログに飛んで足跡/ペタを残す(ペタ返しなどという)。

「4コマを1本描いて、それに加えてコメント返しなどもこまめにやろうと思うと
1日24時間ではとても足りないくらい」

それでもランキングを一つでも上げたい一心で家事や育児の時間を削ってまで
パソコンに向かっていたきんととさんに、昨年ブロガーとしての転機が訪れる。
夫の病気と休職、そして休職中に起きたリストラ騒動がそのきっかけだった。

「ブログに追われる生活をしてはいけないと反省しました。
主人のことをちゃんと見守っていたいし、子供たちに不安な思いをさせてはいけないし。
で、私のブログの常連さんたちにメッセージを送って、
家庭の事情があってこれからはコメント返しやペタ返しはできませんと伝えました。
そう決めたことでブログの存在が少し軽くなりました」

昨年9月、きんととさんは新たなブログ「きんととの思い出マンガ 裏きんとと」をはじめた。
きんとと家の日常を4コマ漫画化したブログだ。
今はこちらにウエートを置いていて、「官公庁のバイトさん」はあまり更新していない。

「家族で読み返してゲラゲラ笑えるような思い出を残したいと思ってはじめました」

以前のようにランキングを上げることに血眼になることはないが、
それでもランキングはやはり気になるときんととさんは苦笑する。

「ブログで漫画を描いているうちにプロの漫画家さんの気持ちに近くなってくるというのか、
描いたものはより多くの人に見てもらいたいし、
より多くの人に笑ってほしいという欲がどうしても出てくるんですね」

「裏きんとと」のネタにされているご主人も中学1年のお子さんも、
きんととさんのブログのよき協力者であり、よき読者だという。
ブログに追われる生活を改めた御利益といえるだろう。

■「きんととの思い出マンガ 裏きんとと」
http://ameblo.jp/urakintoto/

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■滝田誠一郎ブログ「私、ブログ評論家です。」
http://ameblo.jp/blog-hyoron 

 

第33回 官公庁ビックリバイト体験(前編)

インタビューは名刺交換からはじまった。

名刺交換そのものは日常茶飯の儀礼だが、
一般のブロガーに名刺をもらったのは初めてだったのでちょっと驚いた。
釣り好きの人が〈釣師・○田○郎〉、趣味でギターを弾いている人が〈ギタリスト・×山×夫〉
という名刺を持っているようなもので、
そういう人物には滅多にお目にかかれるものではない。

名刺の中央に〈4コマまんが・イラストレーター きんとと〉の文字がひときわ大きく印刷され、
その上にブログのタイトル〈きんととの官公庁ビックリバイト体験4コママンガ
『すべては県民のために。これが県庁公務員』〉(略して官公庁のバイトさん)、
下に〈Japan Blog Award 2009 総合グランプリ受賞〉の文字とブログのURL、
さらに得意のイラストがカラーで印刷されている。裏面には4コマ漫画も印刷されている。

きんととさんによれば、ブロガーが名刺を持つことはさほど珍しいことではないという。
多くの読者を持つ人気ブロガーはそれが肩書になり得るほどの社会的存在であり、
社会的人格を形成しているということなのだろう。

「官公庁のバイトさん」がスタートしたのは2008年1月14。
市役所、第三セクター、そして県庁で計6年間アルバイトをした体験をもとに、
善良なる公務員の姿を4マ漫画で表現したブログだ。
記念すべき1目の4コマは、県庁のアルバイトの採用面接で
バツイチ母子家庭(当時)の窮状を訴えるきんととさんが、
"可哀そうだから"という理由で採用されるエピソードが描かれている。

「ブログをはじめたら、自分の描いた4コマがインターネットで世界中に配信されて、
大勢の人に見てもらえるんだみたいな幻想を抱いていたんですが、
現実はそんなに甘くなくて、しばらくの間は誰にも見てもらえなくて落ち込みました」

より多くの人に読んで欲しい一心から「家事や育児の時間を削って」までブログに打ち込むようになり、
その甲斐あってきんととさんのブログはじきに人気ブログの仲間入りを果たし、
ランキング上位の常連になり、ついには「Japan Blog Award 2009」の
総合グランプリ受賞の快挙を達成するまでになる。

しかし、その裏で昨年きんととさんはブロガーとしての転機を迎えていた。
県庁でアルバイトをしていたときに知り合って再婚した会社員のご主人が病気で休職に追い込まれ、
その最中に巨額の赤字を出した会社が大規模なリストラ策を打ち出したことがきっかけだった。

「このときは、休職している主人なんか真っ先にリストラの対象にされちゃう、
もうダメだと思ってウルウルしてました」

幸いご主人はリストラされることもなく、病気も治って現在は元気に復職しているが、
ご主人の病気とリストラ騒動をきっかけに、きんととさんはブログのランキングに
一喜一憂することをやめようと決意する。
家事や育児時間まで削ってブログに熱中していたことを反省し、
もっと気楽にブログと付き合うようにしようと思い改めるのである。(つづく)


■「官公庁のバイトさん」

http://ameblo.jp/kintoto-kankouchou/


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■滝田誠一郎ブログ「私、ブログ評論家です。」
http://ameblo.jp/blog-hyoron